金融経済ラジオ第2回:
October 2009 Archives
金融経済ラジオ第1回:
商業不動産危機の到来を認める!
金融経済の見通しに対して強気な姿勢を崩さなかった米国金融当局。
だがここにきて、とうとう厳しい実態を
認める発言をせざるを得なかったようである。
米国連邦預金保険公社(FDIC)、連邦通貨監督庁(OCC)、
連邦貯蓄機関監督局(OTS)の3者は、商業不動産向け融資が、
米銀にとって最大の危機であるという証言を行った。
米国商業不動産バブル崩壊については以前より各所で指摘されており、
当サイトでも「今年の7月に、米商業不動産バブルの本格的崩壊が始まった」
と推測していた。
その裏付けやロジックであるが、
「FRBが発表している商業不動産向け融資の統計のピークが昨年末であり、
それから半年ほどの時間差を置いて市場崩壊が始まる」というものであった。
そして案の定、2009年7月から米地銀破綻のスピードが加速し、
FDICの保証基金をあっという間に食い尽くしたことは記憶に新しい。
この商業不動産バブル崩壊については、
サブプライム問題やリーマン破綻時の報道と比べると、
「これまでの間、意図的にメディアでの露出を抑制してきたフシ」がある。
しかし、とうとう情報制御にも限界が訪れ、
次々と噴き出す事例を押さえることはもはや不可能の段階となった模様である。
大手米系ヘッジファンドのブラックストーンは、
ビバリーヒルズにある商業不動産物件の売却をつい最近断念した模様である。
買い手側との価格交渉に折り合いが付かず、交渉決裂ということのようだ。
また、米商業不動産大手・キャップマークフィナンシャルグループは、
来週にも破綻申請をする見通しである。
このように最近では、大手企業における商業不動産関連の
交渉途絶や破綻が始まっている。
10月1日時点では、FRBのバーナンキ議長は
商業不動産の危険性を認識しつつも、
それがリスクになることはない、と強気の姿勢を見せていた。
ところが、最近になるFRB側のトーンも段々と変化し、
旗色が明らかに悪くなっている。
FRB当局も、米商業不動産向けローンが米銀のバランスシートを
著しく圧迫していることを認める報告をしており、
新たなる金融危機再燃を想定して準備を進めている可能性を示唆している。
米中マネー増発合戦の危険が高まる
ドル基軸体制は、一体どこまで延命できるのか?
各国要人がドル基軸体制に関する発言を活発にしている。
それを見て参りたい。
ガイトナー米財務長官の発言を見ていこう。
『強いドルは重要であり、ドル基軸体制を維持してゆく』
『巨額の経常赤字を抱える米国にとって、
海外から資金を呼び込むためにも強いドルは必要である』
『現在の国際金融体制において、ドルが重要な役割を担っていると認識している』
ということで、徹底的にドル基軸体制防衛の意識を打ち出している。
裏を返せば、それだけ危機が差し迫っていると言うことでもあろう。
その一方、ドル基軸体制の維持において最も重大なリスクを、
FRBのバーナンキ議長が指摘している。
それは『財政の長期的な安定性』である。
これは米国にとって極めて難しいテーマである。
数十年単位で経済が低迷する可能性がある中、
これまで積み上がってきた天文学的な債務の返済は
奇跡でも起こらなければ不可能であろう。
先日、トルコのイスタンブールでG7会合が開催されたのだが、
ドル安に対する批判は無かった。
もはやドル安の話題は、腫れ物扱いである。
結局G7は、過度で無秩序な為替変動は経済を脅かすので
回避しなければならないという声明の繰り返しとなった。
世界各国にとっても、あまりに急激なドルの崩落は、
百害あって一利なしのようだ。
フランスのラガルド財務相、ECBのトリシェ総裁はともに、
強いドルへの支持を打ち出している。
しかし、今後もFRBはゼロ金利政策を中長期的に続けざるを得ない状況である。
これは大量のドル増発に繋がり、ドル安に拍車を掛けるのは自明である。
米国内では、今までにないデフレの脅威が膨れあがっているようだ。
ゼロ金利に景気後退と、デフレを加速させる要因が連鎖反応を起こしている。
さらに、輸出主導型経済からまだ抜けきれない中国が、
外貨収益・対外債権の防御を目的に「元安政策」を
さらにヒートアップさせる可能性が出てきた。
ドル安が続けば続くほど、中国にとっては貿易利得は減少し、
ドル資産も目減りしてしまう。
そうなると、米中間でマネー増発合戦が起きてもおかしくはないだろう。
ドルは既に、主要7通貨に対して3月初旬以降これまでに14%も下落している。
一方、中国が自国輸出企業の支援を目的に為替介入を実施しており、
人民元に対してはほぼ横ばいとなっている。
中国は、今後も人民元を増発し、ドル増発に対抗する可能性があり、
これが連鎖反応を起こす危険があるのである。
先日のG20金融サミットの声明にもあるように、
世界はこれまでのグローバル経済金融システムを逆回転させるつもりである。
しかし、急激な変化にはどの国も耐えられない。
米国も中国もそれぞれの国益を守るために、
通貨増発競争に撃って出るだけの理由があるのだ。
果たして、世界はグローバル経済金融システムの過渡期を
乗り越えることができるだろうか?
ドル基軸体制は、あとどれくらい続くのか?
世界各国は、残された時間内に体質転換を果たすことができるのだろうか?